さよならとその向こう側
優しさ〜彩夏〜
気が付いたら、もう夜7時を過ぎていた。
私はあのまま泣きながら、ベッドで寝てしまったみたい。
窓から見える空は、もう真っ暗だった。
時間が経ったおかげで、涙は乾いた。
だけどさっきの事が、綾さんの言葉が、耳に、頭に、こびりついて離れない。
『これ以上私達の仲を壊す様な事しないで!!』
……切羽詰まった声だった。
心からの、叫びに聞こえた。
綾さんの言葉を聞くまでは、この台詞は私の物だと、信じて疑わなかったのに。
"私に実を返して"
"私達の仲を壊さないで"
ずっと、ずっと、そう思ってた。