さよならとその向こう側

「…どうして？実さんは私じゃなくて、"彩夏"を選んだはずじゃない？」


なのに、会いに行かないなんておかしいじゃない。


「『綾に別れる事を納得して貰っていないから。』だそうだ。中途半端なままじゃ、綾にも彩夏にも申し訳ないからって言ってたよ。」



―――。

何よそれ。

馬鹿みたい。





やっぱり、私の愛した実さんらしい。

私と結婚すれば将来だって約束されたような物で、研究だって一生続けられたのに……結局愛した彼女を選んで。


毎日待ち伏せしてる自分勝手な私に付き合って、最愛の彼女に会いに行けなかったり。


この一ヶ月だって、私は意識が無かったんだから、いくらでも"彩夏"に会いに行けたのに――。




――もう、本当に馬鹿だよ。


真面目過ぎるよ、実さん。