さよならとその向こう側

「…敦。私、頑張ってみる。今日もし実さんが来たら、逃げないで話をしてみる。」



…怖いけど。



こんなに愛してるから、もうこれ以上苦しめたら駄目だよね？


「幸せになって欲しい」なんて、そんな綺麗事はまだまだ言えないけど、せめて解放してあげる。




「偉いよ、綾。頑張れ。」

そう言って、敦は優しく私を包み込む。



知らなかったな……。

敦ってスマートだけど男らしい筋肉とかちゃんとついてて、引き締まった体なんだ。



――なんて、余りに優しい抱擁だから、つい余計な事を考えてしまう。





「失恋は辛いけど、ちゃんと慰めてやるから。綾が立ち直るまで側にいるよ。」


今まで見たことが無いくらい、優しい表情の敦にそんな事を言われたから、驚いたんだと思う。







涙も止まらない私は、泣きながら大笑いした。