さよならとその向こう側
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少しの沈黙が続いた後、泣き腫らした目を擦って顔を上げた。
叔父さんも叔母さんもただ黙って私を見守っていた。
だから、精一杯の笑顔を作って話しかけた。
「…叔父さん、叔母さん。私、仕事辞めてここに住んでもいいかな?」
すると二人は驚いた顔をした。
「構わないが、会社で何か有ったのか?」
そう尋ねる叔父さんに、これ以上心配はかけられないけど、でも今は二人に甘えたかった。
一人でアパートに帰り、連絡の無い携帯を見つめながら暮らすなんて、もう耐えられ無い。
それに、おばあちゃんやお父さんやお母さんに出来無かった゛親孝行゛を、叔父さんと叔母さんにしようと決めたから。
だから、笑顔で答えた。
「実は、ちょっと失恋しちゃったんだ。でも、それだけじゃなくて、叔父さんと叔母さんの側にいたいから……いいかな?」