さよならとその向こう側
「――ありがとうございます。」
実さんの声が聞こえた。
それから数秒後………。
病室のドアが開く。
「…あ。」
実さんと目が合って、思わず声が出てしまった。
久しぶりに見る実さんはやっぱり素敵で。
長身で、切れ長の瞳が輝いていて、紳士的な立ち振る舞い。
私を見て安堵の笑みをうかべた、その笑顔ですら、私の心を捕らえて離さない。
「…無事で、良かったです。」
実さんがぽつりと零したその一言に、感動して涙が出そうになる。