さよならとその向こう側

ありがとうございます。とか

心配をかけてすみません。とか


伝えたい事は沢山有ったのに、言葉にならない。


いざ口を開こうとすると、涙が零れそうで……ただ、実さんを見つめていた。



「お体は大丈夫ですか?」

何も言わない私を気遣い、優しい言葉をかけてくれる。


言葉が出ない代わりに、小さく頷いた。



「そうですか。…本当に良かったです。」


私の様子を確認しながら、実さんは、ゆっくりベッドの側に近いて来た。



その行動を見ただけで、胸がギュッと締め付けられる。

実さんが私を見てくれていると、それだけで、ドキドキする。




だから、



「……実さん――私やっぱり……あなたを愛してます。」


そう告げずにはいられなかった。




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