さよならとその向こう側
アパートを出て行くまでのたった二日間。


何度も携帯を握りしめた。

何度も実の番号を表示させた。


でも結局、かける事は無かった。


思い出すのは綾さんの言葉。

心の底から絞り出した様な声。


『これ以上私達の仲を壊す様な事はしないで!』



――自分から実に連絡をとる勇気なんて、無くなっていた。




そして今日まで、実からも連絡は無い。


もう、駄目なんだと――思う。


このまま自然消滅するのを実は待っているのかもしれない。


そんな人じゃないと信じていたいけど、実際連絡はなくて……。


やりきれない苦しさで一杯で、もう頭がおかしくなりそうだった。



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