さよならとその向こう側
そう言って笑う彼。


その笑顔が、あまりにも素敵で、ただ見つめているだけでドキドキした。






結局、何も言えないまま彼にご馳走になった。


だってもし拒んだら、彼と食事に行く事自体が無くなりそうな気がしたから。





昨日まで"会いたい"と願い続けていた彼にやっと会えて、私の気持ちは、憧れでは収まらない大きなものに変わっていた。



私は神田さんにとって、"佐和田教授の娘"でしかない。

だからこんなに親切にして貰えるのだろう。

それ以下でもそれ以上でも無い事は十分分かっていたけど。



彼と交わした会話があまりにも楽しくて。

優しく微笑みかけてくれるその瞳があまりにも綺麗で。

私はときめかずにはいられなかった。



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