さよならとその向こう側
数日後、私は父と二人で写真を撮った。


それを買っておいたフォトフレームに入れ、父の日のプレゼントにした。


父は恥ずかしそうに照れながら

「ありがとう綾。」

そう言ってくれた。


今まであげたどんなプレゼントの時よりも、一番嬉しそうな顔をしていた。






神田さんと会ったあの日、私達はアドレスと携帯番号を交換していた。


そして、父の日の翌日に彼からメールが届いた。

【教授がとても嬉しそうにデスクに写真を飾っていましたよ。良かったですね。】


彼は私が父の為に彼に買い物に付き合って貰ったと信じている。


本当は違うのに。


ただあなたに会いたかったからなのに。


だから、アドレスを交換した時だって、嬉しくて仕方なかったの。


だけど初めてのあなたへのメールは

【ありがとうございました】


だけだった。



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