さよならとその向こう側
それから約二週間後。

私と亜沙美が飲みに来ている居酒屋に実さんを呼んだ。

友達が会いたがっていると話してあったので、快く了解してくれた。


「なんだか品定めされるみたいで緊張しますね?」

実さんはそんな事を言いながらも、緊張した様子は全く感じられず、いつもの通りさわやかに颯爽と現れた。


「こんばんは。」


たった一言挨拶しただけなのに、亜沙美はきっと見惚れているに違いない。

だって私だって一目惚れした位素敵なんだから。


「お話には聞いていたけれど、本当にいい男ですね。・・・・・・なんで綾なんかと付き合ったんですか?」

「ちょっ!!・・・亜沙美?!なんて事聞くのよ!?」


突然過ぎる亜沙美の発言にびっくりした。

しかも綾なんかって酷くない?!


だけど、実さんはいつもの爽やかで優しい笑顔のまま。


「綾さんは、素直でかわいらしい方ですよ。」


さらっとそう答えた。



私はというと・・・・・・。

まだまだ付き合って間もなくて、全然二人きりで会ったりとかしてなくて、こんな言葉を貰ったのは初めてだったから・・・・・・・・・。

なんて言っていいかわからなくて、ただ実さんを見つめてしまってた。

嬉しくて、きっと顔は真っ赤だったと思う。

そこに亜沙美がいるんだって事すら、一瞬忘れてしまってた。


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