さよならとその向こう側
「・・・・・・綾?私の存在忘れてるでしょ?」



「・・・!!あ、ごめん・・・。」


亜沙美にそう言われるまで、私はずっと実さんを見つめていたのだろう。

だけど、実さんは恥ずかしがることも呆れる事も無く、おなじみの笑顔で微笑んでくれた。




それからはありふれた世間話で盛り上がった。

夜も11時を回った頃、亜沙美とは駅で別れた。


だけど、私達も、タクシーを拾った実さんに自宅まで送って貰っただけ。



本当は、実さんのマンションに行ってみたかった。

それか違う場所で飲みなおしても良かった。


せっかく二人きりになれたのに、

もっと一緒にいたかった。





実さんは明日仕事があるから、仕方ないんだよな・・・。


そんな風に自分に言い聞かせた。




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