さよならとその向こう側

「大人の付き合いなんだから、体の関係が何も無いなんて変だと思うの。･･･だから、あまりにも何にもされなかったら、自分から求めてみな？」


「･･････」

何それ？

どういう事？


「体の関係で、自分の、相手に対する愛情の大きさとか分かると思うの。そうなる事で、”この人を愛してるんだ”って実感したりするでしょ？･･･それって、相手の気持ちも結構感じたりするじゃない？自分の事を本当に好きなのか、それ程でもないのか、ただやりたいだけなのか･･･。」


なんだ、そういう事か。

「でも、それなら口で聞いた方がいいじゃない。」


「正直に話してくれるならね。」


「ねぇ、何よその言い方。」


なんで？

なんでそんな事ばっかり言うの？

亜沙美が神田さんに会わせてって言うからそうしただけなのに。

なんで酷い事ばっかり･･････。


「確かに私が見た限りでも、神田さんは綾を騙す様な人には見えなかったよ?だけど、綾の事好きっていう風にも見えなかった。楽しそうじゃなかった。･･･私ひどい事言ってるけど、神田さんに限っては、綾と上手くいけば得する事がきっと沢山あるじゃない？」

「･･････」


「これが神田さんじゃなければ、綾に告白されたって、好きでも興味もなければ付き合わないだろうし、それか完全に遊び相手にするかどっちかだよね？だから、逆にいえば付き合うって事は多少なりとも好きでいてくれてるって事でいいんだろうけど。･･････だけど、彼に限っては、綾を邪険になんか出来ない筈でしょ？･･････気持が全然違う方を向いていたとしても。」


「･･････」


「だから、確かめてみて？キスだけだって、気持ちって伝わってくるじゃん？」




悔しかった。

だけど、何にも言い返せなかった。

確かに神田さんは、立場的に私を邪険になんて出来ない人だから。