さよならとその向こう側
ガチャッ
夜遅い事もあってか、近所の目を気にしてか、インターホンを鳴らさずに合鍵を使って入って来る。
気付いて慌てて玄関に出迎える私を、実は必ず抱き締める……。
「…彩夏、彩夏愛してる。」
耳元で何度も何度も囁く。
「私も…。」
そう答えながら、胸が締め付けられる。
大好きな人からの愛の告白。
普通ならとても嬉しい事なのに、今の私は違う。
私を見つめる実の瞳が、真剣で、儚げで、今にも消えて無くなりそうな危うさを秘めていて…。
怖くなる…。
目の前にいる実をいつ失うか分からない…恐怖が私を支配して。
私達はいつまで
このままでいるの?
このままでも
いられないの?