ダイスキ。
ダイスキ!
「ま、待ってよ!」

はじめまして!
私、中宮紫菜(なかみや しな)!!

「馬鹿か?紫菜!お前、俺に追いつけると思ってんの?」

「だ、だから待ってって言ってんでしょう?!!アンタ、私の彼氏でしょ!?少しは彼女を大事に思ってよ!」

「お前女じゃねーだろ、昔から」

「はぁ!?」

遅刻寸前、3週間前に私から告白した彼・幼馴染の高橋 刹(たかはし せつ)。
ダイスキなのに、素直になれません。

「せ、刹!本気で置いてっちゃうの!?ねぇ…っ」

家から、この学校・雪島高等学校(ゆきしま)まで約900メートル。
そんな距離だから歩いていってるんだ。早起きして。
だって、歩いていったほうが刹とたくさん一緒にいれるんだもん。
まぁ、刹はそんなこと気づいてないけど。
刹は幼馴染だから、家は隣なんだ。
しかも、何処かの誰かさんの、家の設計で、刹の部屋(2階)と私の部屋(2階)は、
お隣同士!
1メートルもない、二人の部屋の距離。
だから良く、刹は私の部屋にジャンプで来てた。

「紫菜ーあと30秒だって!!」
私を見捨てて行った刹は、もう既に校門を抜けていて、私に叫んでいる。
まぁ、教えてくれた限り優しいとは思うけど。
置いていかれたのにはもう、心底ショックです。

よし!あと約100メートル!?
30秒!?
余裕!!

私は全速力で走り出した。

「あっ!コラ!!中宮紫菜!お前はまた遅刻か!?」

そういえば、昨日も遅刻だったっけ…?

「先生!まだ何秒かあるんでしょう!?見逃してねー♪」

私は先生の横を通り過ぎた。

セーフ♪

この学校は、門が閉まる時間と教室に入らないといけない時間が15分もずれてる。
だから、良く靴箱で待っててくれる、刹がスキ!!
ねぇ、刹、今日も待っててくれるよね?

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