ブタに真珠
涼はチラリと時計を確認し、慌てたように会社の駐車場に駐車している愛車に乗り込み走り出した。
そして着いた場所はレンタルビデオ屋。
店の横にあるスペースに駐車すると涼は走り込むように店内に駆け込んだ。
「えーっ、と…うーん」
何百本ものビデオやDVDが並べられた棚をじっくり見ながら涼は目当てのDVDを探していた。
「………あった!」
やっと見つけたのか早足でレジにDVDを持って行き、支払いを済ませるとまた慌てたように店を出て、愛車に乗り込む。
こんなに涼が慌てているのには、訳があった。
車を20分ほど走らせると、ある一軒のアパートに着いた。
そこで涼は愛車を降り、DVDの入った袋を持つと部屋を目指して勢いよく階段を駆け登った。
−ピンポーン
部屋の前に着き、呼び鈴を鳴らすと少し間をおいてから「開いてるよ〜」という何とも暢気な声が聞こえて来た。
すると涼はまた小さく溜め息を吐き、ドアを開けて中に入った。