恋するシステム
前に『燃料』について聞かれて

イチゴ味とか、そんな風だって答えたら

「ちょっと飲ませて?」

ってミナは言ったんだ。

で、チャレンジしたミナはそのあと、そりゃあ大変だった。

匂いも味も調整されてるけど……

やっぱり『燃料』は『燃料』なわけだ。

要するにさ、人間が飲めるものじゃない。

「亜紀ってさ、味覚はちゃんとあるんだよね」

「そりゃね。じゃなきゃなに味とかわかんないし?」

「でも、それ飲むのは平気なんだよね」

「うーん……ほら、ミナとあたしは喉が違うじゃん? 消化器官も違うし。やっぱそこは、内部構造だよねぇ」

「そっかあ……」

からからからって、ミナの自転車のタイヤが鳴ってる。

ぽーっと明後日の方向見てるミナは

ひょっとしたら、あたしの内蔵を思い浮かべてるのかもしれない。

ごめんよぉ亜紀。

いくら正体知ってるミナにも、さすがに見せてあげるわけにはいかないし

それにあたしの内蔵、たぶん鉄パイプとかチューブですから。

なんかきっと、絶対お父さんの趣味でメタリックですから。

あたしはアンドロイドだってわかってても

そのへんについては苦笑しか出ないなあ……
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