恋するシステム
それからあたしとミナは、他愛もないこと話しながら登校した。

昨日のテレビとか

新しい音楽とか
ケーキのお店とか

そのうちに、校門が見えてくる。

「ありゃ?」

と、ミナが首をかしげた。

「ねえ亜紀、あれ、ひょっとして抜き打ち検査かな?」

「え? マジ? どれどれ?」

キュイーン

あたしの目に仕込まれたカメラが起動する。

あたしの目はすごい。

見ようと思えば、空を飛んでる飛行機の窓の中、乗客の顔まで見えちゃうから。

ジー

ウィー

カシャ

望遠システムが起動して、あたしの視界がズームアップする。

ピピピ

ピピピ

ターゲットロックオンって感じであたしが捉えたのは

生活指導のデブ崎だった。

デブ崎は40過ぎのおっさんで

生徒から取り上げたお菓子を食べまくってデブになっただの、ならないだの。

とりあえず、あんまり……

っていうか全然人気のない先生だ。

カシャ

ウィー

ジー

あたしはカメラアイをもとに戻す。

横ではミナが不安げにしていた。

「どう? やっぱり検査ぁ?」

「みたい。デブ崎がいるもん」

「うえ~」

ミナの露骨に嫌がってる顔は、ある意味かわいい。
< 13 / 47 >

この作品をシェア

pagetop