恋するシステム
ミナと一緒に教室へ向かう。

がら

と、ドアを開けた時。

「おっと」

「わっ」

ひとりの男子と正面から出くわした。

野球部の、高木くんだ。

「お、わりぃ山本、野宮」

と、高木くんはスポーツ刈りの頭を掻いた。

そのままするりとあたし達の横を抜けて

どこかへ行った。

なんてことない、ただのすれ違い。

だけど……

「あ……ミナ? うぉーい、ミナ? 野宮ミナさーん?」

「えっ……あ、うん、なにっ?」

そのなんでもないことに、頬っぺたを赤くしてる乙女がいる。

やれやれだ。

「ボーッとし過ぎだぞぉミナぁ。高木くんが目の前通ったくらいでそんなんなって、どうすんの?」

「う、そんなにボーッとしてた?」

「してたしてた、目ぇうるうるで」

「えーっ、うそー」

「マジマジ」

ミナは、そうつまり、高木くんが好きなんだ。
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