恋するシステム
「なに考えとんだお前は」

「うぁ、先生かんべんしてくださいよぉ」

という声を

あたしの集音回路が拾った。

デブ崎の声だ。

なんか、かなり怒ってるっぽい。

ひょいと顔をあげる。

システムを耳に集中させると

デブ崎に捕まっただれかの声も聞こえてきた。

「先生~、俺、命を助けて来たんすよ。ヒーローやってたんすよ。だから多目に見てくださいって」

「なーにがヒーローか。バカなこと言っとらんで、ほれ、ここに名前とクラス書け」

「うげー、先生心せめぇ」

「やかましい」

ははー。

どうやら

遅刻し男子が無理な言い訳してるらしい。

「ヒーローやってたんすよ」って……

なにそれ。

ツンツン。

と、あたしの背中をなにかが突っついてくる。

いや、なにかっていうか、ミナの指なんだけどね。
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