恋するシステム
「うん、なんかグラウンドでサッカーしてるっぽいよ」

「え、サッカー? 野球じゃなくて?」

「サッカー、だね。野球じゃなくて」

そりゃ高木くんは野球部だけど

野球に必要ならグローブとか、人数分借りらんないんだし

仕方ないんじゃ?

「うんん、そっかあ、グラウンドなんだ。そっか」

「そっかじゃないでしょ~、ミナぁ」

ぐりぐりとヒジで突っついてやる。

「見に行きたいんしょ? ん? ん? ん? 行っといでよーう」

「う、うっ」

「行っといでってばーん♪」

「う、うっ、じゃ、じゃあ……ちょっとその、と、トイレ! トイレにっ!!」

ぷっ。

ミナはかわいいなぁ。

「おー、行っといで。トイレに」

「いっ、いってきますっ、トイレにっ!!」


真っ赤な顔のミナを見送って

あたしは「やれやれ」だ。

あんなんじゃ

いったいいつ告白するんだろ。

「あー、さーて、そろそろあたしも」

「あたしも、なんだよ?」

「うわっ!?」

いきなり声がしてビビった。

なんといっつのまにか、大竹原くんが目の前にいたんだ。
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