恋するシステム
「なっ、なっ、なんかあたしに用!?」

ビックリし過ぎて一歩下がっちゃったあたしを

大竹原くんは笑った。

「なんか用って……アンタらこそ俺に用があったんじゃないの? さっき俺を指差してたじゃん?」

「あ……ま、まあ……」

はい、そうでした。

でも……

「よ、用ってわけでも、ないんだよね。あははは」

「? じゃあなんだったわけ?」

「いやー、あの、うんとですねぃ、あたしはミナに連れられまして」

「なんで?」

「あー、いやぁ、それはぁ……」

ミナは本当は高木くんを見たかっただけで

でもひとりでクラス行く勇気なくて

テキトーにあたしを引っ張ってく理由に大竹原くんを出しただけで

でもそんなの大竹原くんに言えないし

しかもあたしは別に大竹原くんに用はないし。

「えーと……」

コンピューターを必死に働かせて

「あっ、そだ!」

あたしは今朝のデータを引っ張り出した。

「ヒーローってなに!?」

「は?」

「ヒーローだよ! 今日遅刻したでしょ? その理由がヒーローとかなんとか聞いてね? なんのことかな~って」

「うぇ……マジ? どっから聞いたんだよ……」
< 30 / 47 >

この作品をシェア

pagetop