恋するシステム
「ほんと気にすんなよ、なっ」

と言ってくれる大竹原くんの

その優しさが、すごく痛い。

ごめん、パンクしたのあたしの重量のせいだから。

実は車輪まで少しへこんだのも

間違いなくあたしせいだから。

ごめん、ごめんなさいよぉ大竹原くん。

アンドロイドってことばらせないけど

だからこそごめんよぉ。

心の中でザンゲを繰り返していると

大竹原くんが前を指差す。

「あ、あそこだ、あそこ」

それは、この町でもわりと大きな鉄橋。

その橋の下――河川敷に、薄汚れた段ボールがあった。

スイカが一個入るかなってくらいの箱の中

まだ小さなしばワンコが、くぅんくぅん鳴いてた。

自転車を止めた大竹原くんが、しばワンコに駆け寄る。

「おー、元気だったかぁ、お前。お、よしよし、ちゃんと食ってるな」

「食ってるって、なにが?」

ワンコを抱き上げて箱を覗いた大竹原くんは、

「ドッグフード」と答えた。

「今朝、コンビニでパって買ってやったんだよ。すげぇの、綺麗さっぱり残ってねぇよ」
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