恋するシステム
「そんじゃまっ、行きますか」

と、しばワンコを抱えて自転車のカゴに入れた大竹原くん。

「うん。行きますかっ!」

あたしは力一杯うなずいた。

そうこれから、このワンコの里親を探しにいくんだ。

あたしの頭はコンピューターだからさ

直接ネットなんかにも繋げられるんだ。

そこであたしは、野良犬や野良猫が最終的にどうなってしまうか……

画像つきで見てしまった。

あたしがワンコ好きっていうのもあるけど

こんなかわいいコを、死なせちゃうわけにはいかない。

絶対、ワンコは私が助けてあげる。

そのためには

なんとしても、このコの里親を探さなくちゃいけない。

あたしと大竹原くんは

カゴに入れたしばワンコを道行く人や近所の知り合いに見せて回りながら

必死になって里親を探した。

「あの、このコ、こんなにかわいいでしょ? よかったら――」

あたし達は

「橋の下に捨てられてたんすよ! かわいそうじゃないっすか?」

必死になって――

「お願いします、このコ、野良じゃ生きらんないですよっ!」

里親を――

「なあ、頼む、家の人に相談してみてくれよ、なあ……!」

探した。

町中ぐるぐる、探した。
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