恋するシステム
すっかり日が暮れて

「どぁ~、づっがれだ~」

「うんー、同感ん~」

あたしと大竹原くんは、公園のベンチで足を投げ出した。

自転車のカゴの中じゃ

まだしばワンコがひょっこり顔を出してる。

そう、里親、まだ見つかんないんだ。

もう空は、いったんオレンジになって

今度はだんだん黒くなってきてる。

このまま一気に夜になるんだ。

「ちくしょう、今日はここまでかぁ」

「うん……」

悔しそうに呟いた大竹原くんに

あたしもこっくりうなずいた。

里親探しを始めた時と違って

かなり力が抜けてた。

前だってそうだったけど……

やっぱりなかなか、里親って見つかんない。

「そういやさ」

と大竹原くんが言った。

「俺、まだアンタの名前聞いてねぇ気がする」

「へ? そうだっけ?」

「ああ。なんての、名前?」

「あたしは山本亜紀だよ」

「あき……なんて字?」

「んー、白亜紀の『亜紀』。わかる?」

「あ、わかるわかる。いい名前じゃん」

「そ、そっかな」

いきなり褒められると、なんか照れるって。

まあ正式にはあたし

漢字は関係なくって〝AKI〟っていうのが個体名称だけど。
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