恋するシステム
「ごめんね亜紀。お父さんに、早くしてって頼んでおくわね。お父さん、なんでもメタリックにしちゃうから、もう」

と、お母さんはほっぺたに手をやった。

あたしのお母さんとお父さんは

当然だけど、『血』の繋がりはない。

だけど

あたしを作ってくれたのは

今目の前にいる、お母さん。

そしてお父さんの、二人だ。

実はあたし、世界的にもすごい存在だと思う。

完全自立型だし

水泳できるし

ご飯も食べられるし

表情変えられて

しかも『感情』だってある。

そんなロボット、いないじゃん。

どこかの会社の白いロボットだって

今は小走りぐらいでしょ。

でもあたし

走ったり跳ねたりできるもん。

お父さんとお母さんは、子供ができないらしい。

お母さんが、そういう体だってこともあるらしいけど

お父さんにもちょっと、問題があるって。

だから二人は、あたしを作ったんだって。

世間に公開なんかしない、

たったひとりの『娘』として。
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