恋するシステム
結局……

大竹原くんが橋の下からダンボールを持ってきた。

コンビニにも寄ってきたみたいで

自転車のカゴにはワンコ用のドライフードが入ってた。

あたしと大竹原くんは

公園の茂みにダンボールを置いて

その中にワンコとご飯を入れた。

ダンボールのふちに前足をひっかけたワンコが

くぅん?

と小首を傾げてくる。

う……

「そ、そんな、……そんなつぶらな瞳で見ないでよぉ……」

なんか、こういうCMあったよね。

頑固っぽいお父さんとチワワが見つめ合うやつ。

大竹原くんが呼び掛けてくる。

「おーい、亜紀、行こうぜ」

「う、うん……」

「心配すんなって。また明日、俺朝イチで来るからよ」

「うん……」

あたしはワンコに

バイバイって手を振った。

また明日来るからね。

絶対来るからね。

公園から出る直前

あたしはもう一度振り返った。

ワンコが、ダンボールに手をかけてこっちを見つめてる。

――カシャッ

あたしはアイカメラで、その写真を撮った。
< 42 / 47 >

この作品をシェア

pagetop