恋するシステム





ソファーの上で寝っ転がっていたら

「なあに亜紀ったら、制服のまんま」

ひょっこり、お母さんが視界に入り込んだ。

「んー、ちょっと考え事ぉ……」

天井の電気は、銀色の傘を被ってる。

なんでもシルバーメタリックなのは

完ッ璧にお父さんの趣味だ。

「考え事ねぇ」

ってうなずきながら

お母さんはすっと引っ込む。

と思ったら、あたしのすぐ横が沈んだ。

ぽっすん、とお母さんが乗っかってくる。

「う、重いよ母さん」

「あ、そんなこと言っちゃやぁよ。亜紀の重量だって」

「わーわーわー、それ聞きたくないそれ聞きたくないっ」

「ふふ、じゃあお互いに体重にはノータッチね」

「オッケー了解、そうしよう」

ころん、とお母さんが横に転がる。

あたしと、ソファーの背もたれに挟まれたお母さん。

なんか、狭いとこが落ち着くらしい、お母さんは。

「それで?」

と、お母さんがほっぺたをつついてくる。

あたしはアンドロイドだけど

体の表面は人の肌とおんなじ感触だから

ぷにぷに、ぷにぷにされる。

あう、ぷにぷに。
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