恋するシステム
無理だとわかってても、

両手を力一杯あわせて、お願いした。

「ねっ、このコ、ウチで飼っちゃダメかな!?」

「うーん……」

お母さんが、

お父さんにアレルギーがあるのは知ってるでしょ?

って言うのは、予想できてる。

でも、あのまんまワンコの飼い主が見つからなかった時

あのワンコがどうなっちゃうかも、予想できてる。

しばワンコを、助けてあげたいの!

「お願いお母さん!! 今日、里親とかも探して回ってたんだけど

でも、見つかんなかったの! このままじゃあのコ死んじゃうよ!」

「そう、ねぇ……」

お母さんも、犬は好きだ。

だけどお父さんのアレルギーがあるから言わない。

お母さんが味方になってくれれば力強いけど

お母さんはいっつもお父さんの味方になる。

だってお母さんはお父さんラブだし

……ずるいんだ。

私がいない時なんか

ちゃっかり名前で、『くん』づけで呼んじゃってるのだって知ってる。

きっとお母さんは今度も、

お父さんのことを考えて、首を横に振るんだ。

ああもう、このラブラブ夫婦め!!
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