約束
「えっ…?もう行っちゃうの?」
目覚めの悪い朝、
彼女は不安そうに俺を見上げる。
「うん。ホラ、同居人が帰って来たら気まずいだろ?だから、帰って来る前に出なきゃね。」
俺はいつもと変わらない笑顔を彼女に向けた。
本当は、帰りたくねぇけど。と心でそう呟いて…
「ねぇ、信…。」
「ん?」
彼女は柔らかい表情を浮かべて
「昨日はありがとう。」
と微笑んだ。
「ん。…あ、そだ。このみさぁ今度デートしよっか。ホラ、二人で出掛けたことないし!な?いいよな?」
「うん。いいよ。」
「やった!んじゃぁ、今週の日曜空けといて。」
そう言って彼女の唇に自分の唇を重ねた。
不意打ちに照れる彼女にまた惚れてしまう俺は
抱き締めたい気持ちを抑えてこのみの家を出た。