約束
《ガヤガヤ…》
受話器から聞こえたまるで人混みの中にいるようなざわつきが
あたしの頭の回転を鈍くする。
どうせ、店の外にいるんでしょ。
って…数秒前のあたしは勝手にそう思っていた。
でも、人混みも何もない静かなこの店の前で、
そんなのは聞こえるわけがない。
「えっちゃん…今どこにいるの?」
聞きたくない気持ちをおさえながら、
えっちゃんに尋ねた。
《あ、あぁ…そのことなんだけど…俺今空港にいんだよね?》
は?
……何言ってんの?
「えっ?なんで??」
まだ半分も残ってるメロンソーダを見つめながら首を傾げた。
《ごめん。ちょっと友達急にさ、日本に帰って来るから手伝いに行かなきゃいけないんだよ。んでも、すぐ戻るから先に俺ん家行っててくれる?》
……なんで?