約束




寒そうに紺色のコートのポケットに手を突っ込みながらさくちゃんは、鼻を赤くした状態で


あたしに笑顔を向けて出迎えた。


あたしは、えっちゃんに見られないようにさくちゃんの腕を引っ張って店の影に隠れた。


「…どうしたの?」


あたしは、さくちゃんにまだ袋から出してない新品のカイロを差し出して尋ねた。


さくちゃんは、「サンキュッ」とかっこよくキメてカイロを爪先で摘んだ。


「えっちゃんと喧嘩しちゃったかな?ってなんか不安になったから来てみた。」

「…ははっ何それ?大きなお世話だし。。大丈夫だよ、ちゃんとあたしの気持ち伝わったと思うからさ?」

なんて力なく笑うとさくちゃんは、一回ため息をついて言った。


「はぁー…。…ちゃんと伝わるのかな?」




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