約束
「広実…留学中に…」
さくちゃんがボソッと呟いたら学校の柵の向こうから
「ねぇママ?ボクね、あとちょっとでしょうがくせぃなんだよ♪」
という子供の声と
「あら。早いわねぇ〜んじゃ、翔くんは立派なお兄ちゃんになるんだね!」
明るいその子のお母さんの声が聞こえた。
微笑ましい光景なのに
まるであたし達にはその光景にふさわしくないかのように
柵に絡まっている草たちがあたしの視界を邪魔した。
「…小学生か…」
そう言えばあたしにもそんな幼い時期があったんだっけ?
なんて
微かに微笑んでたら
さくちゃんが
「…襲われかけて事故ったんだ。」
と口を挟んだ。
「…えっ?」