約束




じょじょに信の顔が近づいてきて、また後退りをするとコツンと


5センチの高さのヒールがコンクリートの壁にあたってこれ以上逃げられない状態になってしまった。


「あれ?」


と後ろを振り向くとスッと信の両手があたしの行く手を塞いだ。


「逃げんなよ。」


急に低くなる信の声に内心ドキドキしながら平然とした表情で信を見上げた。


「…な、に?」


「何じゃないよ。今俺から逃げようとしてたじゃん。だからそれのお仕置きに…ね?」


首を傾けゆっくり更に近づく信にもう逃げるのを止めて静かに目を閉じた。







チュッ






………えっ。





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