幼なじみ〜first love〜
今日から、あたしは教師として正式採用になりました。
長かったわ…道のり……
何年、臨時教師を続けたか……
新しく買った黒のスーツを着て、鏡の前に立った。
「ねぇ…蒼、あたし絶対老けたよね…」
「まだ30歳じゃんか」
蒼をしっかりと睨みつけた。年を言うなっ!
「…はぁ。お肌のツヤがぁ~」
頬を触りながら、鏡とにらめっこ。
「ハチミツでも顔に塗っとけよ」
そう言って蒼は、あたしの頬を思い切り引っ張る。
「…ヒィテテ…あっ!蒼、今日…仕事は?」
「絢音先生の初日ってことで。休み取ったから、こいつらのことは心配すんな」
蒼が仕事だと思ったから、パパの所へ預けようと思ってた。
蒼は、二人の子供を抱きかかえる。
「蒼も仕事忙しいのに…ごめんね?」
「夫婦は、助け合いが必要ってな」
「蒼~っ!!」
あたしの素敵な旦那様
愛しの旦那様
感謝します
あたしは蒼にぎゅうっと抱きつく。
「ほら、早く行かないと遅刻すんぞ?」
蒼はあたしの頭をポンポンと優しく撫でた。
「やばっ…!!じゃ、行ってくんね~」
そう言って、蒼と子供たちに手を振った。
「行ってらっしゃい~!ほら、おまえらもママに行ってらっしゃいは?」
「「ママぁ~!いってらっしゃーい」」
子供たちの無邪気な笑顔と蒼の優しい笑顔につられ、
あたしも自然と笑顔になる。