幼なじみ〜first love〜
「…あたし…さっきから、知らない女の子たちにいっぱい聞かれんだけど…」




絢音が不満そうに口を尖らせて言う。




「…何を?」




「“朝、一緒に歩いてたけど、彼女なの?”って…。」




「んで?」




「んでって…ただの幼なじみですって何回言ったか…。大変なんだから…モテる幼なじみを持つとねっ」




ほら…やっぱり。
気づいてない。




「………あっそ」




……なんか無性にイラつく。




「ちょっと!蒼ってばぁ〜!どこ行くのぉ?」




「どこだっていいだろ」




苛立つ俺は、絢音をその場に残して、教室を出て行った。




絢音は…俺のこと


ただの“幼なじみ”としか思ってないんだよな。




告ったら終わり。振られんのわかってんだ。




気まずくなって、アイツのそばにいられなくなったりしたら最悪だよな……。



幼なじみって近いようで、遠い存在なんだよ。




そして、これから起こる状況。
俺たちはますます距離が近くなりすぎる。




まだ絢音は何も知らない。
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