幼なじみ〜first love〜
「絢音っち…何だよあれ…」




ケンちゃんの言葉にあたしは俯く。




「二人が付き合ったなんて…全然知らなかった…。ケンちゃん…ごめん。あたしちょっと…」




あたしはケンちゃんの横をすり抜けて教室を出ていった。




「おいっ絢音っち…!」




泣きそうで、耐えられそうにない。




胸が痛くて、苦しくて、どうしようもない。




蒼と栞の手を繋いでいた光景が脳裏にこびりついていて、離れない。




屋上へ向かって、階段を一気に駆け上った。




息が出来なくなる前に、空が見たい。




――…バンッ!


屋上へのドアを勢いよく開けると、真っ青な空が見えた。




息を切らし、あたしはその場に崩れ落ちる。




「…ハァ…ッ…ハァ…泣いたらダメ…」




溢れ出そうになる涙を何度も腕で拭った。




泣いたら…この恋をあきらめることになるもん。




「…まだ…伝えてないよ…」




小さい頃からの…蒼への想いを


蒼にちゃんと




自分の口で伝えるまでは…

泣いて…あきらめるなんて




絶対にできない…――。
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