幼なじみ〜first love〜
絢音の呼吸が少しずつ元に戻り、手足が痺れると言うので、静かにベッドに寝かせた。




「大丈夫だ」




そう言って絢音の髪をそっと撫でた。




やっと忘れかけていたのに…


あの時のこと…




絢音の心に深く刻まれた傷痕がまた…――。







―――……




絢音が、眠りについた後、俺はアイツに電話した。




プルルルッ…




“蒼くん?こんな時間にどぉしたの?”




その甲高い声が余計に苛立たせた。




「栞?今から会いたいんだけど…」




俺は必至で演技をする。




“今から?…なんかあったの?”




「…栞に話したいことあるんだ…」




“いいけど?”




「無理…してないか…?」




感情のないやつに、優しいフリをするのも大変だ。




でもこれは絢音と高梨の為。




“ふふっ…大丈夫だよ。どこに行けばいい?”




電話を切り、俺は急いで家を出て、待ち合わせ場所に向かった。




急がないと…


絢音が壊れてしまうその前に…
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