幼なじみ〜first love〜
真っ暗な夜の公園、外灯だけが唯一の光だった。




噴水の前に栞が立っていた。




「遅ーい。呼び出したの蒼くんなのにぃ」




「ごめん」




そう言って俺は、栞をキツく抱きしめた。




「…蒼くん、どぉしたの…?」




「……別に」




「…なんかあったのぉ?」




俺の腕の中で、栞が甘ったるい声で聞いてくる。




「……何もない」




「今日は朝まで…そばにいてあげるよ…」




「……本当に…?」




「…いいよ…何かあったみたいだし…栞が慰めてあげる…」




栞は俺の胸に耳をあて、きつく抱き締める。




それから俺たちは、駅の方へと向かって歩き出した。
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