幼なじみ〜first love〜
「…やめてよ…死ぬとか…バカじゃないの?笑っちゃう…」




嘲笑う栞だったが、俺から目を逸らした。




「おまえは、俺たちの過去を何も知らないだろ?」




「…人の幸せな過去なんて…興味ないっ」




「絢音は俺のすべてだから…あいつが幸せになるためなら、何でもする…」




絢音を傷つけるヤツも


絢音を泣かせるヤツも




俺が絶対に許さない…!




ベッドの上の栞に、俺は近寄ってゆく…。




「来ないで…来ないでよ…!何よ…その目は…!怖い…」




栞を押し倒し、両手首を押さえつけ、腹の上に馬乗りになった。




「おまえが絢音にしたこと…高梨にしたこと…俺は許さない…絶対に…」




俺は、栞の細い首を両手で掴む…。




「…殺したいなら…力入れなさいよ…」




見つめ合った栞の瞳は、悲しみに溢れていて、俺はその手に力を入れることは出来なかった。




「…なんで…?なんでよぉ…栞には…助けてくれる人なんて…いなかっ…た…」




俺がゆっくり手を離すと、栞は横向きになり膝を抱え、静かに泣き始めた。




「おい…なんだよ…?また演技か…?」




「…ぅぅ…っ…」




泣いている栞は、演技なのか本当の栞なのか…俺にはわからなかった。




栞は俺の返事に答えることもなく、ただ泣き続けた。
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