幼なじみ〜first love〜

「おい……」




向こうを向いたまま泣き続ける栞の肩に、そっと触れた。




「同じこと…しただけじゃない…」




「えっ…?」




「栞がされたこと…しただけ…なのに…栞には…守ってくれる人なんて…ひとりもいなかった…」




栞の身体はひどく震え、指をくわえ、力強く爪を噛んでいた。




「まさか…おまえ…」




「…人って残酷だよね…。自分は何も悪いことしなくても…酷い目に遭ったりするんだよ…」




栞の言葉の意味をようやく俺は理解した。




「…生きていくには…開き直るしかなかった…」




恨んで…恨み続けて


それでも悲しみは消えることなく




誰かを傷つけなきゃ




栞は


生きていけなかったと




そう俺に言った……
< 148 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop