幼なじみ〜first love〜
「オレ…ちっとも気づけなかった…」




ケンは俯き、自分の髪をぐしゃぐしゃと掻き回した。




「ケンも高梨も、俺たちと出逢ったのは中学だったしな。絢音は中学に入るまで、睡眠薬なしでは眠れない状態でさ…」




「不眠症だったのか?」




「……あぁ」




中学に入ってからも、朝たまに目を腫らして来ることがあった。




でも絢音は…ムリにでも元気を出して過ごしていた。




俺のせいで…ずっと元気なフリをしていただけだ




絢音にムリをさせてしまった




「俺が…絢音を救ってやれたんだって…えらそうだけど、昨日までは…そんなふうに思ってた。でも違った……」




俺のせいで、余計にアイツを苦しませ続けたのかもしれない。




「蒼…絢音っちにとって、どれだけおまえが大切な存在だったか…おまえだってわかってるだろ?」




「どうしたら…絢音を救ってやれんのかな……」




俺だって智也のこと、苦しいのに。絢音はそれ以上に苦しいんだ。




「智也が自殺した原因は…?」




「それがわかんねぇんだ…あの日、海で絢音と智也が何をしていたのかも……絢音は誰にも、何も言わねぇんだ……」




絢音の心の中には

カギがあって




俺はそこに一歩も入っていけない
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