幼なじみ〜first love〜
「智也は…どこで死んだんだ…?」




「あの海で…砂浜に…智也の靴が残されてたんだ……」




今でも…思い出す




あの時の…砂の感触…――








――…小5の夏休み最後の日だったあの夜、智也が家に帰って来ていないと、クラス中に連絡網が回ってきた。




絢音が家を飛び出したのを、俺は追いかけた。




通りかかったタクシーに二人で乗りこみ、20分ほど走った…




『止めてください!』




絢音の言葉に、運転手さんは急ブレーキを踏む。




俺は絢音のおばさんからもらった5千円札を置いて、おつりももらわずにタクシーから飛び出した。




走ってく絢音を必死に追いかけた。




『絢音…っ!智也はここにいんのか!?』




『わかんないけど…でも…』








海………




夜の海は…深い闇のようで




そこに呑みこまれてしまいそうで




俺は恐ろしささえ…覚えた




ザザザーーーッ……ザザザーーーッ……―――




浜辺は、波の音で包まれる。






サクッ…サクッ…




砂浜を走る足が、何故かとても重く感じた。




この闇に、この砂に埋もれてしまうのではないかと




思うほどに………




街灯の光で、砂浜の一か所だけが、少しだけ明るい。




そこには、白いスニーカーが並べられて置いてあった。
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