幼なじみ〜first love〜
「ちょっとぉ、だれぇ〜?」
ひとりのギャルが、前に出る。
「…ん?早くその子のこと、離せや」
突然現れた、関西弁の男の子……
“ちょっと…あの人カッコよくない?”
“蒼くんのがカッコイイよぉ…”
“えぇ〜アタシはあの人のが好みかもぉ。あんな人…この学校に居たっけぇ?”
彼女たちが、ヒソヒソ話をし始めた。あたしにはまだその男の子がよく見えない。
「俺の親戚のおっちゃんが、ここの理事長やねん…おまえら退学になってもええんか?」
「な…っ!退学!?ねぇ……もう行こーよ」
彼女たちの顔色が急に変わった。
「離して…」
あたしの胸ぐらを掴んでいた手を離し、その子たちは逃げるように足早にその場から去って行った。
“殺す”は怖くなくて…“退学”は怖いんだ……
あたしは深くため息をつき、その場に崩れ落ちる。