幼なじみ〜first love〜

驚きのあまり手で口を押さえた。その手が微かに震え始める。




動けなかった。智也が目の前に…




「…智也……っ」




信じられないけど、でも智也がいまあたしの…目の前にいる。




「……生きてたの…?智也…」




声が震えた。胸が苦しくて、言葉にするのがやっとで…自然と涙がこぼれ落ちた。




「逢いたかったよ…智也…」




「おまえ…っ…何で…」




あたしは智也に思い切り抱きついた…。




「生きてたんだね…智也ぁーっ…」




5年前のあの日、あの海で死んだと思ってた智也が…




今…目の前に………










「ちゃうよ」




耳元で囁かれた低い声。




ガチャ…―――バンッ………!!




勢いよく扉が開き、そっちに目をやると、蒼とケンちゃんが息を切らしてやってきた。




「絢音…っ!…教室にいないから…ハァ…ハァ…探したじゃん…ていうか何で…抱き…」




あたしは慌てて智也の身体から離れる。




「何泣いて…テメェ、絢音に何したんだよっ!?」




蒼が、勢いのあまり智也に殴りかかろうとしたから、あたしは咄嗟に叫んだ。




「やめてっ!」




あたしは、蒼の腕にしがみつく。




「………と、智也…?」




蒼の右手の拳は、宙に浮いたまま止まった。
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