幼なじみ〜first love〜
――…ピンポーン…
インターホンを鳴らすと、玄関から高梨の母ちゃんが出てきた。
「……いらっしゃい」
高梨の母ちゃんも、だいぶ痩せてしまったように思う。
頬がこけて、顔色も悪い。
「こんにちわ…」
俺たちは、高梨の母ちゃんに軽く頭を下げる。
「あの子のこと、心配してくれて本当にありがとうね…」
高梨の母ちゃんが無理して笑顔を作っているのはわかった。
「美々ー?みんなが来てくれたわよぉ?」
高梨の部屋の前に立ち、おばちゃんはドア越しに呼び掛けるが、部屋の中からは返答がない。
――ガチャ…
ゆっくりと部屋の扉を開けると、高梨の部屋は、カーテンが閉められたままで、昼間なのに真っ暗だった。
「…美々ちゃん」
布団にもぐりこんでいる高梨に向かって、絢音は呼びかける。
真っ暗じゃ何も見えない。俺は勝手に部屋の電気をつけた。
布団から起き上がった高梨は、とても青白い顔をしていて、血の気が全くなかった。左手首には、包帯が巻かれている。
「…帰って……」
高梨は俺たちの目を見て、そう呟いた。