幼なじみ〜first love〜
「…初めて会うた時からなんか気になってん。おまえのこと好きになりそうやった……」




そう言って遊也は笑っているけれど、あたしは頭の中が真っ白になる。




「…へっ…へっ?」




「何や?そのマヌケな返事……。まっええわ。蒼と、うまくやれや…おまえとは“お友達”になったるわ」




「遊也……」




「蒼の何がええんかな…」




「…きっと、遊也も蒼の良さがそのうちわかるよ!」




「ほんまかいな…仲良くなれる気、1ミリもせぇへんけどな」




ザッパーン…ザザザーッ…―――




遊也が立ち上がり、波打ち際まで走ってく。その背中をあたしは見つめていた。




遊也…これからは

ひとりじゃないからね




あたしやみんなと


一緒に大切な時間を過ごそう




「絢音も来いや!」




座って眺めていたあたしの腕を無理やり引っ張って走る遊也。




「冷たいってばぁ〜遊也〜っ!」




「くそっ…シャツ濡れたやろ?」




あたしたちは、波打ち際で水をかけ合ったりして、遊んだ。




たくさん笑った


たくさん笑えた




もうあたしは大丈夫…ちゃんと笑えたんだから




悲しい過去を嘆くんじゃなくて


死んでしまった人を忘れるんじゃなくて




記憶の中で




幸せな思い出にすればいい…―――




そう思ったら

少しだけ前に進めた……
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