幼なじみ〜first love〜

――…コンコン




俺の部屋のドアを誰かがノックした。




「へーい？」




「蒼？お風呂出たよぉ？入っていいよっ」




ドアの向こうから、絢音の声がする。




「おう…っていうか、ドア越しかよ？」




「だって…さっき着替えてたらどうすんだって言うから…」




「着替えてねぇよ？」




絢音はゆっくりとドアを開け、中を覗いてニコッと笑った。




「…何してたの？」




「入れば？まだ散らかってるから、つまずくなよ…？」




「ぎゃぁ…っ！」




「あぶね…っ」




注意したそばから、絢音が本につまずき、俺の体に倒れこんできた。




俺はとっさに絢音の体を受け止めた。




絢音の濡れた髪が俺の頬に触れる。そこから香る甘いシャンプーの匂い。




「…絢音…早くどけ…重い……」




「ご、ごめん蒼…」




絢音は慌てて部屋を出ていった。




落ち着け…俺。


心臓の音が早くなっていくのを感じる。




あと少しでも絢音と触れていたら、抱き締めていたかもしれない。