幼なじみ〜first love〜
手を掴んだまま、蒼はあたしの顔をじっと見つめる。
「…なに?あたしの顔なんかついてる?」
「…いや、別に。行くぞ」
蒼はパッと手を離すと、先にうちの玄関から出ていってしまった。
「ちょっと待ってよぉ〜蒼ってばぁ!」
あたしは、足早に歩いてゆく蒼の背中を急いで追いかけた。
水嶋 蒼。
(みずしま あお)
うちの隣の家、水嶋家の一人息子。
年が同じで、生まれた頃からずっと一緒にいる。
いわゆる、“幼なじみ”ってやつ。
この友達以上、恋人未満の関係は、居心地が良くて抜け出せない。
蒼はあたしの気持ちになんて、これっぽっちも気づいてないけど…
願いはずっと
ひとつだけだった
“蒼の彼女になりたい”
蒼のことが好き…――。
小さい頃からずっと
ずっと…
蒼だけを見てきた。