幼なじみ〜first love〜
蒼―side―
8月初旬――、今日は絢音と映画を見に行く。
俺は、部活を辞めて、夏休みに入ってから1週間だけ、引越し屋の短期のバイトをして、絢音とのデート代を稼いでいた。
その働いた給料が、昨日振り込まれた。
「絢音ーっ?早く行くぞー?」
「待ってーっ…蒼!もう少しで終わるぅっ」
絢音があっち行ったりこっち行ったり、バタバタと慌ただしく動き回っている。女は本当、出掛けるまでに時間がかかる。
絢音を待つ間、俺はリビングのソファーに座り、絢音の母ちゃんと話をしていた。
「蒼くんがアメリカ行っちゃうなんて…おばさんも淋しいわ」
「4ヶ月も世話になって…いや、小さい頃からずっと俺の面倒見てくれて、おばさんたちには感謝してます」
俺がアメリカに行くこと、絢音の両親には、昨日話したばかりだった。
「夏休みとか…こっちに帰って来られないの?」
「なかなか…難しいかもしんないっす…。親戚がこの町にいるわけでもないし、家もないから」
「その時は、うちに泊まればいいじゃない…。絢音も…淋しがるわね…」
おばさんの言葉に、俺はただ微笑むことしか出来なかった。
「蒼〜っ!おまたせっ」
絢音が、慌てて階段から駆け降りてきた。やっと出掛ける支度が終わったらしい。
「行くか」
「うんっ」
絢音の笑顔を見る度に
切なくなる
離れたくない
心の奥で、本当は俺
そう叫んでる