幼なじみ〜first love〜
映画館前には、夏休みということもあって、学生らしきカップルがそこらじゅうに見受けられる。
「絢音、なに観たい?」
「えっ?アクション映画じゃないの?」
絢音は、不意を衝かれたように驚いた顔で、俺を見つめた。
「絢音は、アクション映画は、あんま好きじゃないだろ?」
「でも蒼の持ってるDVDって、アクション映画ばっかりじゃん。今日もてっきりアクション映画だと思ってた」
「この1ヶ月は、絢音のしたいことしようぜ?」
俺は微笑み、絢音の手を力強く握った。
「……なんか調子狂うね。蒼らしくない」
「嫌なのか?」
「ううん」
絢音は、嬉しそうに微笑んだ。
「俺、チケットと…ポップコーンとジュース買ってくっから。ここで座って待ってろよ」
「えっ…お金払う…っ」
「何のために必死にバイトしたと思ってんだよ?いいから待っとけって」
俺は絢音の肩を押さえ、無理やりイスに座らせた。
「いいの…?」
「いいに決まってんだろ?」